
サトシ
2025年8月27日 3:01:45
ミニ研究紹介その2です。
明日からポッドキャスト再開します。
Haloarchaeaという古細菌に圧力をかけると、細胞が集まった多細胞構造を形成することを発見した。しかも動物の組織みたいに性質の違う細胞(周辺のPer細胞と中心のScu細胞)が出現する。物理的刺激が多細胞化を引き起こす可能性を示す研究。
https://www.science.org/doi/10.1126/science.adu0047
新たなショートスリーパー関連遺伝子
短眠者の解析から新たな遺伝子変異を同定。元々マウスで睡眠に関係することがわかっているSIK3の変異で、このヒトの変異を導入するとマウスの睡眠が(少し)短縮した。5個目の短眠関連遺伝子となる。
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2500356122
モウセンゴケ属の食虫植物の粘液には、酸に強い真菌Acrodontium crateriformeが共生している。この菌が出す酵素によって、虫の消化が早まることが示された。食虫は植物と菌の協力関係によることを示唆している。
https://www.nature.com/articles/s41564-024-01766-y
毛の老化を抑える
成長因子IGF‑1は寿命と関係がある。
マウスでIGF-1は年とともに皮膚で増加するし、IGF-1を人工的に増やすと毛の幹細胞が老化し、白髪と抜け毛を加速することを発見。さらに、IGF-1の働きを抑えると改善することを示した。
ヒトの皮膚でも加齢でIGF-1が増えるとのこと。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/acel.70053
雄マウスは集団よりも一人を好む可能性
マウスは社会性動物なので集団での飼育が推奨されているが、雄がケンカするのが問題になる。客観的指標を調べてみたら、雄マウスは単独飼育の時の方が感情の状態が良いようだった。飼育環境の再考を促す研究。
bioRxivの査読前論文
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2025.05.02.651815v1.full
「自己実験によるがん治療の報告」
ウイルス学者Halassy氏は、再発した自分の乳がんに対し自ら培養した未承認の癌治療ウイルスで治療した。腫瘍は縮小し手術可能となり、4年間再発なし。
倫理的議論の中、自己実験の症例報告を発表した。多くの雑誌は掲載を拒否したとのこと。
https://www.nature.com/articles/d41586-024-03647-0
「仲間を助けるラットの脳の違い」
同じ状況でも他のラットを助けるラットは、助けないラットよりも、脳の「愛情ホルモン」オキシトシン受容体が多く、社会性に関係する脳領域での活動が高い。
(でも、オキシトシン神経を抑えても助け行動は継続するので、これだけではない。)